24歳頃、『18℃』という名前の自然食、身体に良い食べ物を集めた店舗の立ち上げと運営をさせていただいていました。
店のアルバイトとして、一人の女性を採用しました。
彼女は同世代でしたが、高卒からある大手の銀行で働いて数年で退職し、私達の店にやってきました。
彼女はとても人当たりも良く、仕事も優秀。
正社員で働く私達と何も変わりはないのに、収入や保障がかなり下がってしまうアルバイトを選ぶのはなぜかなと考えなくもありませんでしたが、それよりも優秀な人が採用できて良かったという思いが強かったと思います。
ただ、その頃の上司が、「よっぽど大変な職場だったんだろう。どうでも良くなったのかもしれないな。」とつぶやいたのを今でも覚えています。
その後彼女自身が少し話してくれたのは、以前の職場があまりにも忙しく、このままでは心身共にどうにかなってしまうと考えて辞めたという話でした。
これが四半世紀以上前のこと。
昨日ある会社で、同じようなことを聞きました。
一度ブラックな会社に勤めてしまって辞めた人が、優秀なのに補佐的な仕事を好んで転職するという話です。
結婚や出産を考えると、正社員、総合職を選ぶ気になれないからなのですが、
これを選ぶと、キャリアアップを望まず、そこそこの仕事を生涯するという人事コースに乗ることになります。
ということは、女性活躍推進、働き方改革は一つの会社で考えていてはいけないのです。
この人の人生やキャリアを考えると、ブラックな会社で途絶えてしまって、その後の会社でも未来を考える選択肢が狭まってしまいます。
そして、新しい会社がいくら良い会社、環境だったとしても、正社員への転換は難しい現状があり、一旦限定されたキャリアを変えることは難しいし、何より本人の気持ちがそこに向かない限り無理ですよね。
もし仮に、彼女が初めて社会で働き出した頃は、キャリアアップもしたいと夢見る人だったとしたら。
とても残念です。
つまり、女性活躍推進、ダイバーシティは、一社だけで完結していてはいけません。
複数の組織に関わる人は多いもの。
一人の人のキャリアを考えると、社会全体のレベルが上がる必要があります。進んでいる会社は他社への啓蒙、情報の提供も必要だと考えます。
全体の底上げをしていかないと、働きがいのある働きやすい会社として努力している環境にいる人は良く、そうでないブラックな環境にいる人はドンドン差が開く。
そんな格差を産むように思います。
そして、何より出産、育児の両立を考えると、その後の働き方を狭めるというのは女性がほとんどという現状。
これも社会全体で考えていく課題です。